辻田克己『句集 明眸』(氷海俳句会)より

  • 2018.08.16 Thursday
  • 19:14

 

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「幡」主宰の第一句集。
700句という膨大な数。

雨の中に雨降りずぶ濡れのプール

永かりし風船の黙妻の黙

自説などなし吹かれ飛ぶ浜千鳥

禱りより固き瞑目シャワー浴ぶ

桜晴子の快便の快音よ

水筒の茶がのど通る深みどり

寒がりて妻の眼鏡に映りにゆく

畑打って終始孤りの事をなす

年の逝く際の際まで男女逢ふ

水の青空の青減るつばくらめ

大の字を教ふ裸の子が父に

土用波くるよ子の丈父の丈

ていねいに畳むパラソル中年か

葡萄吸ふ唯物論のこれも物

白菜の愚直を藁で括りおく

太陽が出る苗札のうしろより

書を曝し少年の日を曝したり

体操がひたと地に伏し天高し

妻憎し塩鮭のこのとんがり口

冬耕にゆく遠景となりにゆく

冬の蜂翔たざれば死ぬ翔てば死ぬ

畑打ちに家近づけり遠のけり

蛇とみる縄とみる否蛇とみる

すみぞめの翅盆僧のバイク行

中年の恋紅葉谷地獄谷

白息や生徒あざむく容易なり

 

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