『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋』を読んで

  • 2019.01.03 Thursday
  • 13:25

 

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読み初めの一書。
やっぱり本はいいなあと思わせる見事なノンフィクション。
内田洋子『モンテレッジォ 小さな村の旅する本屋』(方丈社)

 

イタリアのトスカーナの山深い村、モンテレッジォで15世紀から本の行商をしていた人たちがたくさんいた。小さな村の村民たちがイタリア全土へと本を届ける役割を担う。それはなぜか。
読み書きを重視しない文化とは縁のない農村に危機が起こったと推測され、生き延びる術を本の行商に求めたということか。
仕入れをどうしたのか読んでもよくわからないところがあるが、露天商なので店舗の維持費もかからず日本のように再販制があるわけでもないので格安で売ることができた。本だけでなく砥石や聖者のお札なども合わせて売っていた。その中で本が最終的に重要な位置づけになったのだろう。彼らは売れ筋の本の情報を共有し、危険思想とされる本を売るなど危ない橋を渡ることもありながら、イタリアで本を必要とする人に届けにゆく。


モンテレッジォの人口は32人しかないという。ここで夏に本の祭が行われ、権威ある賞が発表される。

水飲み場では人と向かい合わせでロバやヤギたちが水を飲むような田舎である。
田舎では本屋は難しく、都会ではヤギやロバと暮らすような暮らしは難しい。
この田舎と都会を折衷させたのが今のうちの形態になっているとも言えよう。本を売りながら家にヤギがいるという暮らし。
にしても、これほどの田舎で本を扱ってきた長い歴史があるということに勇気づけられた。これを読んでどうこうではないが、ロバを飼いながら文化的であり続けるのも不可能ではないのかもしれない。そういう方向を模索していきたい。

 

イタリアでは6歳以上で紙の本を1冊も読まなかったのは人口の半数以上だという。
日本は学校で朝の読書の時間があったりするので、多少ましな数字になっても実質は似たようなものだろう。多少読む人でも図書館で済ます人も少なくない。本は買われなければ本の未来はない。
一生本屋ができるとも思わないし、今年すらどうなるか不明だが、気負わずに不易流行でいきたいものである。

 

 

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