角兎栄児『句集 旅寝』(富士見書房)より

  • 2019.11.11 Monday
  • 23:25

 

 

平成1。
「雲母」同人。第1句集。

枯萩に日はやすやすととゞまれり

園児らの唇すこし開く夏景色

穀倉に米ぎつしりと夏が来る

見たきものだけ見て寒の故郷かな

話す間もひかりの殖ゆる朴の花

吾亦紅風に現はれ雨に消ゆ

何處からとなくひかりさす春の瀧

萍の下のうきくさ夏ふかし

争へる人のうしろの秋日和

おんな見るやうに秋日の洲をのぞく

味噌蔵へ雀の出入り一葉忌

図書館に空席のある梅日和

子の読める書の影が地に初つばめ

禽園に抜け道のある四温かな

初蛙たづさへしもの土に置き

草山に青空のこり菊畠

身を重くかりがね過ぎぬ雪の村

佛顔をこはごはのぞく春著の子

いわし雲ふつと佛に木の匂ひ

人ひとりゐてやはらかき春の山

殖えしもの薬ばかりや西東忌

そうめんの村ひといろに春しぐれ

刻かけてもの煮る習ひ冬に入る

鰻屋を出て古書店へ文化の日

鳩啼いて朱雀高校梅雨入りかな

佛にも加はる齢夏よもぎ

いつのまにゐなくなる子や秋の風

黄落のはじめの一樹神学部

母坐るところが青し冬の山

きさらぎの水に片よる近江の灯

菜を漬けて大根を煮ておぼろかな

鐘ついて人よろめける炎暑かな

いわし雲老いて振り向くこと多し

尼ひとり消えて嵯峨野の目借時

泊船のあとかたもなき炎暑かな

草餅の出廻りて川疾くなる

神無月すぐに目のゆく山があり

念佛のぎつしりつまる寒の山

人を恋ひ人をはなれて春落葉

遠く旅してゐるごとし白日傘

能面をとりても翁秋の風

いわし雲ひとごゑはすぐ地を離れ

菱採りの菱のごとくに寡黙なり

もの問へばよき聲かへる龍の玉

 

JUGEMテーマ:俳句

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