橋本美代子『句集 プラハの月』(角川書店)より

  • 2020.08.01 Saturday
  • 23:47

 

 

2008年。
「七曜」主宰。橋本多佳子4女。第5句集。

永平寺雪解の溝に雪を捨つ

馬の顔ルオーの基督めく朧

そこここに落石そこに岩すみれ

花仰ぎつつ目的は別にあり

山藤をくぐり方位の狂ひたり

しやぼんだま避けてはくれぬ松の幹

一日中さくら満開安息日

物言はず落花愛するもの同士

鳥曇読みさし借りつ放しの書

春眠の目覚めにダリの時計鳴る

一切のものを映さず滝落下

人間の罪説く牧師日焼けして

般若面掛けて人待つ夏座敷

兜虫完璧にして骸なる

水切つて水の色せる心太

昼寝覚めざれば遺品となる眼鏡

初鰹一本料る主婦賭けて

大夕焼振り向くことも久しぶり

枝変へて月に近づく青葉木菟

秋の風猫背正してまた猫背

発掘の棒を打ち込む芋畑

うろこ雲率ゐるもののあるごとし

病む夫の一口の餉の新豆腐

高原の空気うましと壁炉燃ゆ

唇に冬薔薇のこの紅が欲し

ー悼 桂信子ー
冬の夜や信子逝き死が身近なる

余所者に佐渡を見せじと猛吹雪

一言に一言応へ紙漉女

重く冷たき聖書を割れば神の声

初日出てやをら木の影われの影

初神楽手力男出てどどんどん

角笛も参加新年ウィーンフィル

迷彩服兵士に落花しきりなる

 

JUGEMテーマ:俳句

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