西山禎一『句集 嵯峨御室』(本阿弥書店)より

  • 2018.09.08 Saturday
  • 22:33

 

20180908_220822.jpg

 

「沖」同人。
好きな句の多い句集でした。
句形がしっかりしていて、見立てにも共感できます。
こういう句を常時詠めたら、どんなにすてきでしょう。

餅飾るしづかに闇のあとずさり

涅槃図の中に嘆きの余白あり

月鉾を解き天心に月還す

光背の裏に囀りあつまれり

萍の闇のかなたの精神科

この景は京都のあそこでしょう。
まだ明るくならないうちに新聞を配りに行っていました。
景がよく見えます。

葵祭牛歩に人馬歩を合はす

洗ふたび墓銘の月日遠ざかる

初風呂や親子の嵩を溢れさせ

蔵開き詰まりし闇の寒さかな

おぼろ夜の足裏はるかにして眠る

ひしひしと一戸を囲み田水張る

菖蒲湯に老いて産湯のごとく浮く

運動会父母の目ひとつ児と走り

待たされてこころ占ふ目借時

薄倖を分けあふごとく螢売

生涯はしよせん散る葉の踊かも

湯豆腐の角しかとあり古稀祝

錦小路買ふものあふれ寒い町

何処より見ても虚のなく一冬木

抱卵は苦行のすがた愛鳥日

障子貼る宥めるやうな手つきして

旅立ちの足より浮力風花す

瀧の水時間失ふとき氷る

もがきゐて育つ倖せひなつばめ

竹伐られ一本づつの空あかり

木石に注連飾りして神棲める

 

 

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