館野翔鶴『句集 峻嶮の鷹』(河内野発行所)より

  • 2019.05.16 Thursday
  • 22:52

 

20190516_214254.jpg

 

昭和61。
「河内野」主宰。第4句集。

流さるるさだめの雛を舟に積む

入水の滝も崩御の渕も澄む

波は円重ねやまざる噴井かな

猪垣の走る縦横無尽かな

総指揮は消防署長芦を焼く

春泥につらねて敷きし歩板かな

布の水ばかり望遠鏡の滝

踊笠ふかくかむりしうらみあり

牡丹鍋つづく落人物語

振り返り見し眼するどき寒垢離女

十字架にステンドグラスより初日

洗ふ娘にまたも大根車着く

上段の羽子板売れしどよめきよ

閉山のことに出水の物語

稲雀空をおほふと云ふことも

炉話の更けゆくほどに色懺悔

爽かに乙女の黒き乗馬服

白樺を流るる霧の音に覚む

小春日の石獣に子ら群れて騎る

地下鉄は人吐きやまず社会鍋

峯寺へ花の一里と云はれけり

蝶よぎりカット映画の撮影は

富士を負ひまたは向ひて茶を摘める

老鶯や昼は泣かざる夜泣石

月育ちながら長江下りかな

虚子全集いのちと黴をよせつけず

宇治と木津合うて遊船揺れにけり

児を産みにもどりて帰省ごころかな

乱礁へ落ちて滝壺なかりけり

店内へみちびくポインセチアの緋

長城の我にぶつかる青嵐

鉾町に住み巡行を椅子に見る

奏文の裡に茅の輪をくぐりけり

燭よりも障子明りの九体仏

肥立ち良き母に嬰児に雪晴るる

寒垢離の済めば女将の装ひす

竹馬に公園平らならざりし

客人の焚くにまかせて山家の炉

逢えること信じて別れ春の雪

鳩杖の猊下に法の深雪晴

波止を打つ波のとどろと実朝忌

百二十二代目宮司花仰ぐ

夏芝居をみなは不義を大胆に

 

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