大竹きみ江『句集 往くさ帰るさ』(牧羊社)より

  • 2019.05.27 Monday
  • 22:21

 

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昭和60。
「雪解」同人。第3句集。

くさめして月にふたたび顔あげず

一塊の野火燃ゆ沼の面にも

花疲れ老の手をひくそのことに

涅槃図の隈なる蝶は吾がつれ来し

種芋を伏せて母の地うたがはず

み仏を辞して日傘の道ふたたび

冷やかに観光は妃の寝所へも

闘牛に血湧かず汗の仏徒われ

初秋風十指ひろげてかよはしむ

御僧に別辞を萩に一瞥を

闇汁のとなりは仏間ゆるされよ

天よりの引く力いま凧のぼる

ギプス出て五体わがもの青き踏む

わくら葉や均らしてあれど爆地跡

新藁や生れて七日の仔牛見に

風邪の子の舌が灼く乳ふくまする

冬鹿のひたよりくるに餌のなき手

眼帯の中に惑ふ眼春の雷

耳さとき疎き老どち新茶くむ

白酒に酔うてただよふ耳二つ

馬柵にそひ馬柵をはなれて秋の風

おもちやまた箱を出たがり掃納め

寄鍋や大口ひらく貝つぎつぎ

牡丹見る日傘にひとみしづめつつ

父の日の父呵々とおく電話あり

補虫網の天を打つとき草いきれ

師亡き世の梅雨の荒音しのび音に

寒卵割つて光を発しけり

切りむすぶ朝の白息死者になし

 

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