井沢正江『句集 晩蝉』(牧羊社)

  • 2019.06.15 Saturday
  • 22:24

 

20190615_210701.jpg

 

昭和52。
「雪解」同人。

浸す手に水の刃立つる泉かな

秘仏見る障子は白刃立つるごと

火の怒りあからさまなり古暖炉

すくひつつ白魚のみな指にそふ

落花まだ一片づつの間ありけり

一片にまなじり引かれ花ふぶく

片膝の起たんとほとけ堂若葉

わが歳の人の訃昼寝起たしむる

曳く杖のすでに分身秋の暮

黄落に立ち光背をわれも負ふ

日向ぼこ起ちてにはかに四囲くらき

一行のひまどる仏書読初に

春宵のをんなの煙草食(を)すごとく

道暮るる一人静も去りしごと

法悦の手のさまよへり盆踊

夜の障子かかる白さに祈りあり

綿虫をとらへて宝珠抱きの手

雨がすぐ星となる空島夜涼

ひらく書に丈なす一首西行忌

夢に来し母に春眠支へられ

頬に手のゆきやすくわが春うれひ

朴咲くといへば還り来一故人

葉だたみもかかげし花も朴浄土

ががんぼや書中たやすく人殺す

籠よ梯子よと楊梅の荘あるじ

干梅のくぼみ天日湛へたる

遅月に地の影そろふ踊かな

夜の散歩銀河の岸にそふ如し

盆波にひとりの泳ぎすぐ返す

仰ぎ立つわれも一軸天の川

夕雲とあきつと流れやまざりし

秋遍路去りゆける背の母のごと

一輪は天の白毫返り花

手袋に投函の稿あと知らず

一周忌すでに大過去冬木の芽

 

 

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