安田俊子『句集 冬薔薇』(ふらんす堂)より

  • 2019.06.19 Wednesday
  • 22:21

 

20190619_203232.jpg

 

1990年。
「嵯峨野」同人。

軽やかに轆轤まはりて春立ちぬ

開扉して菩薩の御目花に向く

をろがめばわれも善女や御身拭

過疎となる三戸に落花惜しみなく

花筏ついと離れてゆくもあり

掌に落花こころに古き恋ありぬ

花に立ち学徒たりし日思ひをり

ゆれ残るふらここに夕迫りくる

旅鞄土産の新茶匂ひけり

屈葬のごと膝いだき暑に耐ふる

漁り火と競ふ宮津の夜店の灯

退院のことには触れずメロン切る

ばらの香の極まりしとき崩れけり

去来墓小さきをたづね蚊にさされ

万緑の峠越え来て人と逢ふ

夏衣流砂のいろとなりにけり

風鈴を癒ゆるあてなき人と聞く

旅を欲るこころ一途や青葉木菟

海老鮑肴に酌むといふも能登

梅雨寒に震へてゆくや恐山

若きらは村を出つくしきりぎりす

いろ褪せし冬帽にして捨て難し

目を病めど夫あり月の凍てずあり

猿老いて落葉の音に耳澄ます

口笛の少年に舞ふ冬の鳩

無住寺の大樹寒禽鈴なりに

探梅のこころ動きて朝詣

出番待つ女優冬日を一身に

 

 

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