畠中順一『句集 うはずみ桜』(自家版)より

  • 2019.07.03 Wednesday
  • 22:36

 

20190703_214115.jpg

 

平成11年。

そばだてし耳に初音の応へけり

高層のビルが見下ろす青嵐

燈火親し充棟の書を侍らせて

着膨れしわれをポストの笑ひけり

大粒や四万十川の夏の雨

窯出づる備長炭の棒紅蓮

佐保姫も驚く数の犬ふぐり

鳥語聞き渓声を聞き坐禅草

銀杏落葉踏みて紅顔蘇る

掌をのせて少女驚く夏薊

蜩の声拾ひ聞く蝉時雨

民宿の灯に邯鄲のセレナーデ

烏瓜いのち一夜の花真白

靖国に詣る詣らぬ終戦日

老人の海を見てゐる開戦日

城主顔して見下ろせり麦の秋

蝿を追ふたびカウベルの鳴りにけり

大根蒔く媼翁に遅れがち

いいかげんにせいと傘さす戻り梅雨

ラジオ聞くこともなくなり終戦日

初凪や耳ひらひらと犬駆ける

香水を貰ひて老のとまどへり

人麿もわれもひとり寝長き夜

秋日傘妻かと思ひ近づけり

読初や何はともあれ創世記

水の面に嘴をあづけて鴨進む

竹秋の季語うべなへり鞍馬線

腕の蚊を一呼吸して叩きけり

哲人のごとホームレス日向ぼこ

頑として鮃はりつく桶の底

水面までそれぞれの間の落花かな

万緑の中に中村草田男碑

氷の字揺れゐて氷よく売れる

八十のしがらみの束年賀状

ふるさとの筍攻めに会ふことも

爽やかや修道士めく厨ごと

珈琲屋に詩を語らへば柳絮舞ふ

 

 

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