右城暮石『句集 上下』(四季出版)より

  • 2019.09.08 Sunday
  • 22:33

 

昭和61。
第2句集。

干し布団厚きは稀の客のため

草矢よく飛びたり水に突きささる

曼殊沙華咲くほか何も無きところ

風邪の牛ごぼごぼ減らす注射液

一身に虻引受けて樹下の牛

万緑に坐せし新聞凹みしまま

氷菓売る老婆に海は無き如し

人声の稀に落ちくる蟻地獄

恵方神多し日本の神多し

裸に取り巻かれ溺死者運ばるる

氷かく音もう山を下り来て

作業帽作業服にて鯊を釣る

入学の少年母を摑む癖

新雪を来て返しゆく郵便夫

蟻地獄まことにしづかなる地獄

養老の滝滝水を野に配る

さまざまの音がして来て昼寝覚む

蟋蟀のころころ声す伎芸天

まだ居りし我におどろき鳰くぐる

無花果の神ながらなる青さかな

山かげり来し山川に泳ぐ声

来て確かむ海の際まで厚き雪

父やさしく母きびしくて雛祭

雪国の雪が減らずに日の暮るる

花火爆ず爆ぜし花火の消えぬうち

気に入らぬもの跳び越えてあめんぼう

わが立てる青嶺に青嶺続きゐて

枕もとにぎやかにして風邪に伏す

雪国の樹の雪は夜に降りし雪

滝壷を出し水のまた滝なせり

生きるより死に近き声きりぎりす

生ま牡蠣に酢の冷たさの加はれる

毛糸編みつづけ横顔見せつづけ

屋根白くなりて夜の雪降りやまず

夕立に看板の美女抱き入るる

死せる赤生きてゐる赤金魚池

滝道の一本道を引返す

歯痛なほやまず秋晴歩きても

晩年も書生つぽき顔獺祭忌

峰雲も拠りどころとす島の山

締め切りし窓恋猫の戻り鳴く

 

 

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