『那須乙郎集(自註現代俳句シリーズ4期35)』より

  • 2017.10.25 Wednesday
  • 11:28

 

子を抱く妻冬虹を光背に

雷去りし机上聖書の外あらず

枯池の底にひとすぢ秋の水

冬虹に禱る奇跡を希はねど

旅に覚め朝の放屁の爽やかに

日曜の手を妻に貸す秋ざくら

青空へ双手突込み袋掛

月光に指をあやつり林檎むく

何怒る何泣く羅漢しぐれつつ

喪のものを流せば冬日のせて去る

泣きたくば泣け雪嶺に一穢なし

妻の帯ななめに低しあやめ切る

われに来る落葉と見えてとほく去る

注連かへて滝あらたなるひびきもつ

月に翔け翼下にくらき地中海

梅雨滂沱杭いつぽんの犬の墓

生かされてまだ巡りあふ大文字

栗さげて父情おろかに子へ急ぐ

十六夜や恋のごとくに妻連れて

新涼の渦生みしづむ潮仏

目覚よしテラスに蟹の訪ねきて

 

 

JUGEMテーマ:俳句

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