尾亀清四郎『句集 八荒』(銀杏発行所)より
- 2019.06.24 Monday
- 22:02
平成10。
「銀杏」主宰。第6句集。
最後はヨーロッパを旅した句で占められ、私が行ったのと近い年で同じ場所に行ってもいるが、やはり海外詠は難しいと思う。同時期の知っている場所でありながらさほど心に訴えない。いわんや知らない人ならなおさらだろう。
糶終へし糶子波止去るサングラス
甚平や傘寿の手足恙なき
くちびるの薄きを当てて瓢の笛
小きざみの時に高音を瓢の笛
神環り神馬無聊の脚か踏む
梅園の一歩に得たり一花の紅(こう)
初花をわが誕日の机上とす
祭ぎぬ着けて供奉まつ馬無聊
きしみ音も旧りたりと思ふ籐寝椅子
仏手柑の高指をこそ切りて見たし
厩(まや)出しの直ちの騎乗乙女らは
みよし野の花の遅速を谷谷に
きりきり舞の今をすとんと竹落葉
曝すなる爽雨の軸と秀雄の書
大口に嚙みしは小太刀獅子の舞ふ
書架の書を移す夜長の刻かけて
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