岡本多可志『句集 熱気球』(邑書林)より

  • 2019.08.31 Saturday
  • 22:13

 

 

1993年。
「木語」同人。第1句集。

団栗を拾ふ背中に又団栗

夕焼を掬ひて水車廻りけり

毛糸玉転がつてより猫のもの

春以外立入禁止花菜畑

春服の少女道々よく話す

なぞなぞの降参ばかり鰯雲

秋空へ光る鏡や引越しす

白萩を風と見るまで呆けをり

着水の一気に鴨の池となる

鴨川へなだるるさくらさくらかな

十弁を重ねて軽し白牡丹

のけぞつてやりすごしたる鬼やんま

曼殊沙華播但線を浮き立たす

新涼や長き定規の透きとほり

葉桜のくだんの川となりにけり

冬日いま勤め終へたるごとく落つ

初電車影の平行四辺形

第一回家族会議や春隣

えご散るや坂のかたちのよく見えて

見入る眼の丸くなりけり時計草

滝垂直人垂直に仰ぎをり

俎に鰤一本の淑気かな

滝飛沫顔に集まりやすきかな

ふるさとのブランコ低し大西日

足裏を砂が引つぱる土用波
 

 

JUGEMテーマ:俳句

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