小寺勇『俳句集 踏んだり蹴ったり』(文童社)より
- 2019.10.28 Monday
- 21:27
1990年。
日野草城門下。
無季も多く、俳句というより関西弁の川柳が多い。
ぼやき連慷慨連がおでん屋に
きつねうどんすする水洟すすりあげ
春眠に何やら刻む音コトコト
理髪師に首を預ける目借時
西日きびし同窓名簿に戦死戦死
焼べるより菊は悲鳴に似たる香を
河童忌や文学なんてみな嘘ぱち
へぼ胡瓜にへぼ茄子お前もへぼ俳人
並んで買う鯛焼尻尾まで餡が
忘年会なんぼ酔うても軍歌はNO
雑煮餅もぐもぐがたがた総入歯で
蝶の雌雄の識別眼もち貧文士
ツーダンでも満塁川藤カットバセ
酎ハイで小寺勇の良夜かな
白桃のように豊満浴衣きて
諦めることでけりつけさわやかに
夫婦喧嘩一度もしたことない冷たさ
着ぶくれて俗事の些事も句の糧に
病ともねんごろにして去年今年
寝たきりでもならな名句がそう易々
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