原田美千代『句集 触るる』(自家版)より

  • 2019.11.07 Thursday
  • 21:39

 

 

昭和54。
第1句集。
盲人であり俳人。教会も出てくるので、キリスト教徒でもあるよう。
自らの障害を詠まれる句は、やはりリアリティーがある。
風鈴の句も上手い。

盲人に手をかしそそぐ甘茶かな

形よく描けし眉毛や初鏡

着飾つて看護婦やさしお元日

夫はホ句妻は歌詠み梅ぬくし

秋の日の片頬暑き厨ごと

暁けの月あると聞くのみほととぎす

手さぐりに活ける小菊の色をきく

菊日和神を信じて疑はず

長き夜や目の開きたるはやはり夢

見えずとも吾も月の出待つ一人

眼ともなる両手を爐火にいつくしみ

爐邊に寄るやさしき瞳感じつつ

幼な名で今なほ呼ばれ木の葉髪

神を信じ人を信じて露の世を

今日よりは妻となる身や冬さうび

風強き日の風鈴の可哀さう

爐に一人思うてならぬ事思ふ

風鈴のめちやくちやに鳴りたまに鳴り

風鈴の短冊どこへ飛んだやら

崩れきし日和氣づかひ障子貼る

厨事すみて加はる日向ぼこ

夕焼空美し人の世は悲し

白菊よ黄菊よと手を添へくれし

春愁やかかはりのなき事なれど

なかなかに落ちぬ夕日や立葵

風鈴のこの音やさしと買ひにけり

病人をほつたらかして踊見に

杖掛けに杖を納めて花疲れ

夕顔の開きし音と耳さとく

點字本読む氣になれず蟲を聞く

師の情に早も接する賀状かな

炭をつぎまだ起きてゐるつもりらし

春愁の溜息一つ又一つ

露の身の心の灯たやすまじ

燈火親し書棚に書籍乏しくも

どぶろくに酔ひゐて淋しさうな人

目の見ゆるやうな氣がして青き踏む

聞きなれぬ小鳥鳴きをり春めきぬ

阿蘇見ゆる所に花見茣蓙ひろげ

虚子句碑の文字にふれつつ秋惜む

 

 

JUGEMテーマ:俳句

calendar

S M T W T F S
     12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
<< November 2019 >>

selected entries

categories

archives

recent comment

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM